【エッセイ】母ちゃんとインターネット、どちらを取るか?

ある日、三女と道を歩いていたら、三女が言いました。

三女「ママえもんが悪い人につかまったら、ウチが助けてあげる。絶対助けるよ。」

私「ほぉ、じゃあ『代わりに宝物を差し出したら交換してやろう』って言われたら、何と交換する?大切な宝物じゃないと、悪い人が納得しないよ」

三女「宝物ね。う〜ん、……じゃあ……インターネット!ママえもんが助かるなら一生インターネットが使えなくてもいいよ!」

私「え?いいの?Youtubeも見れないし、ゲームもできなくなるよ!?」

三女「ママえもんが助かるならいいよ」

私はいたく感動したのでした。


しばらく経った後、この話を思い出して、ふと長女に聞いてみました。

私「悪い人が”母ちゃん”と”我が家のインターネット”を捕まえていて、どちらか一方だけ助けてやろう、って言ったらどっちを助ける?」

長女「インターネットを選ばなかったらどうなるの?」

私「母ちゃんは助かる。でも君は一生インターネットを使えない。Youtubeもゲームも見れない。にじさんじのライブも見れない」

長女「え…!え〜〜〜……!それは……困るよ」

私「どうする?」

長女は長考に沈みました。そして、小さな声でこう言いました。

長女「……ママさん」

私は畳み掛けました。

私「もし母ちゃんが『私はもう十分生きたから心残りはない。インターネットがないと困るでしょう?インターネットを選んでいいよ』って言ったらどうする?」

長女はおずおずと言いました。

長女「……じゃあ、インターネット。」

長女の目から迷いが消えていました。長女は誰かに背中を押してほしかったのでしょう。私はよい最期を迎えたと満足しました。


しばらくして、同じ質問を次女にしてみました。

私「悪い人が”母ちゃん”と”我が家のインターネット”を捕まえていて、どちらか一方だけ助けてやろう、って言ったらどっちを助ける?」

次女「インターネット」

彼女の目は健やかで、曇りがなく、清々しいものでした。そう、私は三人の娘をここまで育て、悔いがないのです。とてもよい人生でした。

一方、次女には未来があります。インターネットが無いと、Youtubeも見れず、彼女の人生は味気ないものでしょう。

たくましく育った我が子たちに乾杯。すこしほろ苦いのも、人生の隠し味です。

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この記事を書いた人

子育てと銭湯を愛する3人娘の母。

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